避妊をしたいけどもコンドームだけでは不安…またはコンドームが身体的に受け付けない…そんな方の中にはピルを常日頃から服用している場合が多いのではないでしょうか。
ピル=避妊をする為の薬、生理痛などに良いという話は聞くけど何となく抵抗があって今まで服用した事がないという方の為に、ピルの正しい知識、メリット&デメリットを紹介していきたいと思います。
目次
ピルに関する基礎知識
今までピルと全く無縁という生活を送ってきた方にとってはピルの基礎知識が全くないと思います。まずはピルにはどんな効果があり、どんな種類があるのかという点を紹介していきたいと思います。
服用した事はありますか?
まずは日本人女性がピルをどれ位服用しているのかを見てみましょう。ラブリサーチというサイトが独自に299人の女性にアンケーを取った結果は…
服用している(81人)
前に服用していた(40人)
服用した事はない(178人)引用元:女子SPA
これまでの人生で1回は服用した事があるという女性は全体の40%と過半数を下回る結果となりました。日本人女性はピルを使った事がない女性の方が多いというアンケート結果です。
日本は先進国の中で最も性にオープンでないと言われていますのでピルに対する考え方も欧米とは違います。欧米では今でも50%~70%の過半数以上の女性が定期的にピルを服用していると言われています。
特にフランス人女性のアンケート結果で「ここ20年で女性の人生を変えるのに最も貢献したものはなんですか?」と調査した結果での第1位は「ピルを服用した避妊生活」という答えでした。日本とは違い欧米では女性がピルを服用して避妊するというのが一般的な考え方となっているのです。
2種類のピル
一口にピルと言っても実は2種類あるという事を皆さんは知っていましたか?それぞれの特徴を見てみましょう。
- 低用量ピル(毎日服用するホルモン剤)
- アフターピル(セックスで避妊に失敗した後に飲む)
大きく分けて2種類のピルがあります。アフターピルは避妊しないままセックスをしてしまった後に飲むもので、72時間以内に飲む事で体内で女性ホルモンの量を増やして人工的に生理を起こすものです。
低用量ピルは21日の月経周期に合わせて毎日服用するホルモン剤なので2種類のピルは全く使用用途が違いという訳です。ちなみにどちらのピルも避妊効果が高い為、どちらも避妊の為に飲む事は最適です。
避妊ができる仕組み
そもそも何故ピルを飲むと避妊が可能になるのかというメカニズムを理解しておきましょう。女性ホルモンには卵胞ホルモンと黄体ホルモンの2種類があり、この2つのホルモンがバランスをとって一般的な月経周期を作っています。この2つは次の月経まで排卵が起こらないように排卵を抑制する効果がありますが、ピルにはこれらの女性ホルモンが入っているので排卵が起こりません。
更にピルには子宮内にも作用して内膜が肥厚するのを防ぐ働きがあります。女性ホルモンの働きで妊娠した場合に備えて本来であれば少しずつ厚くなっていくものなのですが、ピルを服用すると脳は女性ホルモンが分泌されないと錯覚を起こし、女性ホルモンが分泌されなくなって子宮内膜分厚くなりません。万が一排卵が起きてしまった場合でも受精卵が着床しにくい状態になるという訳です。
ピル服用のメリット4つ
数多くあるピル服用のメリットですが、日常的に飲んでいる方は大きく分けて4つの効果を得る為に服用しています。大きな4つのメリットを以下で一つずつ解説していきましょう。
ほぼ100%の避妊
望まない妊娠を防ぐ効果を持っているのがピルの強みです。避妊と言うとコンドームが一般的かと思いますが、コンドームでは避妊だと年間20人に1人位の割合で妊娠しています。それと比較するとピルの避妊成功率はほぼ100%なので安心してセックスを楽しむ事ができます。
コンドームの場合は途中で敗れてしまったり外れてしまったりといった不測の事態で失敗してしまう可能性がありますが、ピルは服用して飲むものなのでそういった意味では失敗するという事はありませんよね。
避妊に失敗してから72時間以内にピルを飲み、その後12時間後に2錠のピルを飲む事で完全に妊娠を防ぐ事ができると言われています。これは元々アメリカでレイプ被害にあった女性への対策でした。ピルは2回にわたって飲む事になりますが、用法と用量は物によって違いますのでしっかりと処方箋を読んでから利用するようにしましょう。
生理痛が和らぐ
ピルを定期的に毎日服用していると、自然な状態の時よりも女性ホルモンの分泌量の変動が少なくなり、血中のホルモン量が安定した状態が続きます。ホルモン量が安定するとどうなるのかと言うと、急激な変化に伴う自律神経の乱れで起こる生理症候群が緩和されるという訳です。
精神的にも肉体的にも安定した状態を保つ事ができますので、生理痛が和らぎイライラなどの不快症状を改善する事ができます。ピルの作用により子宮内膜の厚みが減る事で生理時の経血量が減少しますので貧血も軽くなりますので、生理痛で毎回イライラしてしまうという方、情緒不安定になる方、経血量が多い事で貧血になる方はピルを服用する事で多くのメリットを得る事が出来るでしょう。
ニキビの改善
ニキビとは皮膚腺の慢性的な炎症の事を指します。皮膚腺から分泌された皮脂は毛穴から排出されるのですが何らかの原因で角質が増殖したりして皮脂から排出しきれずに毛穴に詰まった状態の事を指します。ニキビの場合は炎症が治まったとしてもニキビ後や色素沈着により皮膚の色が変化してしまうので女性の天敵ですよね。
実はピルにはニキビの改善効果があります。炎症がある程度進んでしまったニキビにはビタミン剤、抗生物質、ディフェリン、ベピオ等では効果がありませんが、ピルを毎日服用していると全身に効果が及びますので、1日1錠飲むだけでニキビにも大きな効果を発揮してくれるのです。
女性ホルモンをコントロールする事でニキビができない肌質に変える事ができると言われていて、軽いニキビであれば1ヶ月以内に治ると言われています。メイクで隠し切れない重症のニキビでも3ヶ月程度で落ち着くと言われていますので、ニキビが気になる方はピルを服用してみるのがオススメです。
病気の予防
ピルには様々な女性特有の病気を防ぐ作用があります。特に効果を発揮すると言われているのが子宮がんと卵巣がん。子宮がんは排卵ホルモンの過剰分泌により、黄体ホルモンが少なくなった時に発生しやすくなると言われていますが、この黄体ホルモンをピルにより一定に保つ事で発生率を著しく低下させる効果があります。
ピルの排卵を抑える働きで卵巣がんにもかかりにくくなり、その他にも卵巣のう腫や乳腺症などの予防にも効果的であるとされています。女性ホルモンを安定させる事で女性特有の病気予防に大きな力を発揮してくれる事ができるのです。
ピル服用のデメリット3つ
避妊だけでなく病気の予防やニキビ改善など、一見するとメリットしかなさそうに感じるピルですが、毎日服用はメリット以外にもデメリットもあります。良い所ばかりではなく悪い所にもしっかりと目を向けて理解しておきましょう。
副作用がある
ピルを飲み始めて1ヶ月~2ヶ月の間は吐き気や嘔吐だけでなく、頭痛や乳房の張りや痛みを感じる事があります。不正出血などの副作用が見られるケースもあります。多くの人は飲み続ける事で副作用が消滅していきますが、どうしても我慢できない人は体に合っていない可能性がありますので医師と相談してみることをオススメします。副作用があり最初の数ヶ月は辛いというのは大きなデメリットと言えるでしょう。
禁煙必須
これは喫煙者限定のデメリットになりますが、ピルを服用する人はタバコを吸う事ができません。ピル服用中に喫煙していると血栓症になるリスクを大幅に上げてしまう為です。血栓という血液の塊が血管の中に出来て、心臓や脳の血管の流れを遮断して心筋梗塞や脳梗塞に繋がるリスクが高まります。
更にピルを利用している方の多くはセックスの時にコンドームを利用しない方が多いです。コンドームを使わないセックスは性感染症のリスクが高まりますので、いくら妊娠するリスクは低くなるからと言ってもコンドームを装着しなくても良いという訳ではありません。コンドームは基本的には感染症を予防する為のものですから、ピルを服用していてもしっかりとコンドームを着用するという事を忘れないようにしましょうね。
定期検査が必要
ピルを利用する時は定期検査が必須です。特に気をつけて検査を行うのは血栓症になりやすい体質かどうかを血液検査で調べるという点です。飲んでいる時の注意点や、飲み始めてからの体調変化なども調べないといけませんから、定期的にピルを購入する時に検査をしなければなりません。
またピルには当然ですがお金もかかります。コンドームよりも勿論高いですから金銭的な面も高いという事でデメリットになると言えるでしょう。ピルを避妊薬ではなくホルモンバランスを整える為の薬と考えて服用していれば高くありませんが、避妊だけを目的としてピルを購入しようと思っていると高いと感じてしまうかもしれません。
まとめ
過去に服用した事がないという方はプルを毎日飲むというのに強い拒否感を感じる人もいるかと思いますが、毎日定期的に服用するという行為は欧米では常識になっています。避妊だけではなく女性ホルモンの安定効果が高いので、より良い健康的な生活を送りたいと考えている方はピル服用がオススメです。
特に生理痛の改善効果がとても強いので、生理が重く悩んでいる方は是非ともピルを服用してみて下さい。検査と病院通いが必要になりますが、それでより良い生活を送れて、生理周期もコントロールする事ができる訳ですから安い犠牲のように感じます。