エッチな春画が大ヒット!女性人気を集める3つの理由を解説
UPDATE:2019.08.23
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エッチな春画が大ヒット!女性人気を集める3つの理由を解説

江戸時代に流行した「春画」。一度は春画を目にしたことがあるという人も多いのではないでしょうか?実は春画はフランスではとても高く評価されている立派な「芸術」です。しかし、日本では長らく春画はタブーとされてきました。男女のセックスの様子が描かれている春画は「下品」「女性が見るものじゃない」そんなイメージが日本ではあったのかもしれません。また、俗なものだと思われていた部分もあるような気がします。しかし、2015年9月19日から東京・永青文庫で開催された日本初となる「春画展」の来場者は18万人(18歳未満は入館禁止・入場料1500円)と大盛況。ロンドンの大英博物館で開催された歳には9万人近い来場者だったとのことで、日本では倍以上の来場者となったのです。

このように、実は春画は日本人から、また、日本人の女性からとても注目されているということがわかります。「春画」はパッと見はポルノのようですが、ポルノではありません。きちんと女性の快楽が描かれている。笑って楽しめる。関係性がしっかりと描かれている。ポップアートとして楽しめるなど人気を集めるのにはきちんとした理由があるのです。この記事では今、春画が女性人気を集めている理由について詳しくご説明させていただきたいと思います。春画が好きだという人はもちろん、春画に興味があるけどよくわからないという人も是非記事をチェックしてみてくださいね。

そもそも春画とは?

そもそも「春画」とはどういうものなのかということをまずはご説明させていただきたいと思います。春画とは、江戸時代に流行した性風俗を描いた絵画のことを言います。笑い絵、秘画、ワ印、枕絵、枕草紙と呼ばれることもあり、江戸時代に成立した絵画のジャンルのひとつである浮世絵の一種でもあるとされています。春画ほど露骨な性表現ではないものは「危絵(あぶなえ)」と呼ばれることもありました。現代で言えば「エロ本」にあたる春画の描写は必ずしも写実的なわけではなく、性器が大きく描かれたりデフォルメされて描かれることが多くなっています。

日本で春画が描かれるようになったのは中国の医学書とともに日本に伝わってきた房中術の解説図だとされています。それが室町時代から江戸時代にかけて庶民に広がっていき、数々の絵師たちによって描かれることになりました。春画はエロ本としての役割も果たしていましたが、その他にも一種のお守りとして使われていたようです。武士は鎧の下に春画を厄除けの守りとして忍ばせ「勝絵」と呼んでいたそうです。更にその後、商人が火事を避ける願いを込めて蔵に春画を置いたりと、災難を避けるものとしてお守りのように使われていました。

その他、枕絵の絵巻は嫁入りする花嫁の性教育のテキストとして使われていたそうです。性教育の教材として春画が使われていたなんて面白いですよね。

春画は日本美術の顔としても大切にされており、愛好家や研究者、コレクターも多いんです。昔の海外では猥褻だとして破棄されてしまった春画を最初に優れた絵画として高い評価を下したのがジャポニズム時代のフランスの美術家たち。1863年には美術評論家ジュール・ド・ゴンクールが春画の芸術性について言及しているといいます。春画のコレクションを多く所有しているゴンクール兄弟はその後も春画の紹介に努めたそうです。ピカソ、ロダン、ロートレックと言った偉大な画家たちも春画から影響を受けたとされています。

BLや百合もある

日本では古くから男色文化がありました。江戸時代には「陰間(かげま)」が人気で、そのため男色にまつわる春画も数多く存在しています。また、江戸時代にも当然レズビアンが存在していました。大奥では女中たちが江戸時代のアダルトグッズを使って女中同士であれこれエッチなことを楽しんでしたようです。そんな女性同士でエッチを楽しむ春画が菱川師宣という絵師が描いた床の置物です。この春画では張型(江戸時代のディルド)にひもをつけそれを腰に巻いて女性同士でセックスをしています。江戸時代の女性たちが張型を工夫してペニスバンドのようにして利用していたなんてびっくりですよね。実は今あるアダルトグッズは既に江戸時代にはあったと考えてもよさそうです。上の画像で挿入されている、左側にいる女性は「きつく つきやれ」と言っています。きっとかなり激しいセックスになったに違いありません。

BL、男性同士の同性愛の春画ではTwitterで「寝取られBLを妄想しつつうたたねする女性に餌をねだっている猫」というかなりカオスな状況が描かれた春画があります。どこからつっこめばいいのかわからないほど込み入った内容ですが、江戸時代では男色文化があったのでこれも普通だったのでしょうか?しかし、それを妄想している、もしくは夢に見ている女性が描かれるというのはなかなか興味深いですよね。ちなみに、このように日本では古くから当たり前だった男色文化を駆逐したのがキリスト教だとされています。

春画を専門にしている絵師はいない

春画はかなり露骨で、場合によってはグロテスクとも言えるほどの表現がされていますがポルトのは違います。よく勘違いされることが多いですが、実は春画を専門にしている絵師は存在していないのです。そして逆に、浮世絵を書いている浮世絵師なら春画を描いていない人はいないとされています。「冨嶽三十六景」などの浮世絵で有名なあの葛飾北斎も「喜能會之故眞通 蛸と海女」というとても有名な春画を描いています。その他、がしゃどくろが描かれた相馬の古内裏、猫の絵で有名な歌川国芳や喜多川歌麿も春画を描いています。江戸時代、春画を描くのはごくごく当たり前のことで「春画を見ると絵描きの技量がよくわかる」とさえ言われていたんだとか。

そんな自由な江戸時代でも享保の改革の時などに春画が禁止になったこともありますが、アンダーグラウンドに潜って春画は描かれ続けていたといいます。浮世絵は特定のパトロンがいない町人文化のため、現代の出版社のような「版元」がありました。そして、注目されている春画作家の新作を江戸中の人々が楽しみにしていたのです。江戸中というのは言葉の通り、庶民も偉い人ということです。春画は町人、侍、殿様など本当に多くの人達が楽しんでいました。お殿様同士が春画の交換会を行っていたという話もあるんです。

春画が女性に人気な理由3つ

それではこれからは春画が一体どうして現代女性に人気とったのか、その理由について詳しく解説していきたいと思います。グロテスクで露骨な描写も少なくない春画。普通なら女性から敬遠されそうなものですが、一体どうしてここまで女性人気を集めることになったんでしょうか?これからそんな理由について詳しく解説していきます。春画を正しく理解するための参考の一つとして考えていただければ幸いです。

春画が女性に人気な理由その1「ポップアートとして楽しめる」

春画は日本のポップアートの始まりではないかと話している人も居ます。元々、肉筆画はとても高価でした。そんな高価な肉筆画を楽しむことが出来るのは、平安時代から長きに渡って貴族や上級武士などの身分の高い、お金のある人々でした。しかし、江戸時代になると技術が発展し、木版画を使って安く、そして大量に作ることが出来るようになり、浮世絵や春画が庶民に広がっていきます。

春画や浮世絵の楽しみ方は一つだけではなく沢山あり、スポーツ新聞やファッション雑誌などのグラビアページ、歌舞伎役者のブロマイドのように楽しむもの、グルメ情報、スキャンダル誌など一般に広く流通する情報誌の役割を果たしていたと考えられています。

春画が女性に人気な理由その2「きちんと関係性・女性の快楽が描かれている」

春画はただセックスをしている絵ではなく、しっかりと関係性や女性の快楽が描かれているという特徴があります。ポルノでは男性が一方的に女性のことを性の慰みものにするというものも少なくない中、春画ではきちんと男女の関係性が描かれているのです。男性も女性も性を楽しむという関係性がしっかりと描かれているため、女性も楽しんで見る事ができるのです。また、春画では女性の快楽がきちんと描かれているという特徴もあります。インドや中国など場合は女性は能面のような顔をしており、男性の道具になっているかのようなセックスの場面が描かれています。

それに対して、日本の春画では女性がセックスから快楽を得るということが当たり前とされており、女性もセックスを楽しんでいるのが描かれているのです。世界の性風俗を描いた絵と比べるとこれはとても大きく特徴的な違いと言えますよね。女性を道具にしているのではなく、単に男女でセックスを楽しんでいる…そんな春画だからこそ女性も楽しむことが出来たのではないでしょうか。

春画が女性に人気な理由その3「笑って楽しめる」

ポルノやエロ本は基本的に男性が一人で見るものですよね。それに対して、春画は何人かで集まって笑い合ってみることも出来るもの。「枕絵」「笑い絵」と呼ばれていることからもわかりますよね。また、「馬鹿夫婦 春画の真似して筋違え」なんて歌もあるそうです。このようなことからも春画がただのエロ本としてではなく、江戸時代に暮らしていた多くの人たちの日々の楽しみ、娯楽として沢山の人に愛されていたということがわかりますよね。

まとめ

春画が女性人気を集めている理由について、いかがでしたでしょうか?実は春画にはとても魅力の詰まった絵なのです。現在は世界でも広く認められている春画は、春画展が成功したことからわかるように、日本でもしっかりと芸術として認識されてきています。江戸時代の人たちが春画を楽しんでいたように、私達も素直な気持ちで春画を楽しんでみていいのではないでしょうか。

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