「逃げ恥」にはなれず!「けもなれ」の人気が低迷した3つの理由
UPDATE:2019.10.31
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「逃げ恥」にはなれず!「けもなれ」の人気が低迷した3つの理由

「逃げるは恥だが役に立つ」は2016年10月に新垣結衣さんが主役のテレビドラマで放送され「逃げ恥」と呼ばれ旋風を起こしました。未だに再放送を強く希望する人が多いほどで、当時は知らない人がいないほどの社会現象となり、平均視聴率は14.5%で火曜ドラマ史上最高記録となりました。

その「逃げ恥」のドラマを脚本したのは野木亜紀子さんで、他にもアンナチュラルやラッキーセブンなどの作品を手掛ける大人気の脚本家です。

その野木亜紀子さんと新垣結衣さんは再び同じドラマでタッグを組むことになります。

そのドラマは「獣になれない私たち」です。

あの逃げ恥のコンビというだけあって前評判はかなり高く、当時は大注目のドラマの一つでした。

しかし、蓋を開けてみれば平均視聴率は8.7%と低迷しました。一体何故けもなれは逃げ恥のようになれなかったのでしょうか?その理由について深く掘り下げてご紹介していきたいと思います。

「けもなれ」ってどんなドラマ?

この記事を開くということは恐らくですが「獣になれない私たち」を見た人が多いと思います。しかし、中には全くドラマを見てないけど何で人気にならなかったのか知りたいともいると思うので。簡単にドラマについて登場自分の特徴から解説して行きたいと思います。

深海昌:しんかいあきら

新垣結衣さんが演じる深海昌について紹介します。IT企業の営業アシスタントとして働いていますが、その企業は世間でいうところのブラック企業で自分がやるべき仕事の量を超える仕事を常に抱えています。社長からの信頼は厚く、何でもコンスタントにこなしてしまう昌にたくさん仕事を振ります。同僚たちのやる気は少なく、自分たちの分の仕事ですら昌にやらせようとします。

基本的に常に疲れている役で、精神的に参っている場面が何度も演出されています。時には線路に飛び込みそうになるくらいに追い込まれてしまいます。

田中圭さんが演じる花井京谷と交際しており、後で紹介しますが京谷には大きな問題があり、2人は結婚することができずにいます。とにかく仕事でもプライベートでも参っている時に行きつけのビールバー「5tap」で松田龍平さん演じる根本恒星と出会うのです。

根本恒星:ねもとこうせい

松田龍平さんが演じる根本恒星について紹介します。「根元公認会計士・税理士事務所」の会計士で不正処理をお願いされますが、頑なに断るシーンが序盤では印象に残ります。

最初は呉羽という彼女がいますが、いきなり別れてしまいます。昌とは「5tap」で何度か顔を合わせており、知っている人程度の関係です。女性関係にはかなり緩く、酔うと色々な人に声をかけては事務所に連れ込みます。実は前に昌も誘ったことがありますが、恒星は酔っていて覚えていませんでした。

花井京谷:はないきょうや

おっさんずラブでも脚光を浴びた田中圭さん演じる花井京谷について紹介します。大手企業に勤める商業施設開発部の社員で、元々は昌も同じ会社で派遣社員をしておりそこで出会って交際に発展します。

実は昌と交際を始めた時に元カノの黒木華さんが演じる「長門朱里」と同棲中でした。同棲を始めるきっかけとなったのは、朱里が仕事をずっと辞めたいと言っていましたが、家賃を払ったり生活するために仕事を続けなければいけないと悩んでいたため、京谷が会社を辞めさせ一緒に住むことになったのです。京谷は昌との交際を機に朱里を別れますが、仕事を決められない朱里はそこから4年間も京谷のマンションに居座り続けます。昌からすれば彼氏が元カノと4年間も一緒に住んでいるという謎の状態なのです。

「けもなれ」のコンセプト

けもなれは「リアリティ」を大事にしたドラマだと言われています。ドラマを見ていればすぐに深海昌と根本恒星が付き合うんだなと察することができますが、実際にはなかなか二人の仲は進展せずにリアルでそう簡単には付き合わないというメッセージが描かれています。

また仕事に悩む昌や、元カノとの関係に悩む京谷、仕事に闇を抱える恒星など確かに今までのドラマとは少し雰囲気が異なる場面が多く見られます。現代の20代30代が抱える悩みをリアルに描こうとしているドラマなのです。

「けもなれ」が不人気だった3つの理由

Yahoo!のテレビガイドのみんなの感想での評価では5点満点中2.86点でした。同じ時期に放送されたドラマ「大恋愛~僕を忘れる君と」は4.42点だったのを見ると低評価なことが分かると思います。冒頭でも言いましたが社会現象にもなった逃げ恥のタッグだったので注目度はかなり高く、最初の視聴率も11.5%と悪くないスタートで下。しかし回を重ねるごとに減少していってしまうのです。全話の視聴率がコチラになります。

  1. 11.5%:本音が言えない大人の恋が動き出す…我慢ばかりの気遣い女vsでまかせ毒舌男!
  2. 8.5%:反撃開始!!仕事も恋も、私変わりたい
  3. 8.1%:今夜、恋のけものが動き出す!!…謝ればいいと思うな! ケンカとナンパと衝撃キス
  4. 6.7%:スマホを落とした彼のヒミツ…まさかの裏切りに彼女ブチギレ衝撃の逆襲始まる!
  5. 8.3%:元カノと直接対決別れる気ありますか?⋯バカになってみた夜揺れ動く恋のけもの
  6. 10.0%:衝撃のキスの夜! 暴れ出す恋のけもの達 偽装結婚の悲しい真実…でも好きだったよ
  7. 8.6%:かわいくなくて、何が悪い! 本音を彼にぶつけた日…堂々巡りの恋に大きな決断が
  8. 9.9%:新しい恋が動きだす!不器用な獣が今頃気づく恋心
  9. 7.1%:ただの飲み友達? それとも? 揺れる恋心…傷ついた彼女と彼がよりそう運命の一夜
  10. 8.3%:一緒にいよう!ラブかもしれない物語いよいよ完結…本当に大切な人に気づく日

となっています。途中で盛り返すものの、最終回は結局8.3%と悪い結果に終わってしまいました。

どうしてここまで人気が低迷してしまったのか、実際にドラマを見た人達の感想などまとめると、3つの理由が考えられるのでそれぞれ解説していきたいと思います。

リアリティとは…?

先ほども言いましたが「けもなれ」はリアルな恋愛を描いていると言われています。制作サイドも現実ではそんな簡単に恋は始まらないとコメントしており、現実の恋を再現することで共感を得ようとしたのかもしれません。実際に作中で昌と恒星の恋は簡単には始まらず、最後でも手をつなぐだけで終わってしまいます。

しかしどうでしょうか、現代の20代と30代の男女の恋愛は付き合ってから好きになるとか、言ってしまえば簡単に体の関係を持つことも珍しくありません。もちろんそういう関係を大事にする人もいますが、どっちがリアリティがあるかと考えると悩みますよね。

そして何よりも登場人物の行動に一番リアリティを感じることができなかったと思います。特に昌みたいな人が現実にいるとは考えられないのです。ブラックすぎる企業で完全に割に合っていない内容。付き合っている彼氏が4年間も元カノと同棲している状況。普通なら耐えられませんよね?感情の表現が見ている人の共感得ることができなかったことが一つ目の原因だと考えます。

またタイトルにもなっていますが”獣になれない”というもどかしさにイライラしてしまう視聴者も少なくなかったようで、恋に発展しないリアリティの演出が仇となってしまったようです。

新垣結衣さんの可愛さを活かしきれない役柄

逃げ恥では随所に新垣結衣さんの可愛さが溢れ、男性だけではなく女性すらも魅了するものがありました。しかし「けもなれ」では新垣結衣さんの可愛さを全然活かせていないという指摘が相次ぎました。疲れ切っているガッキーを見たくなかったとか、彼氏に翻弄されるガッキーは嫌だとか、新垣さんの役柄とのミスマッチが問題視されていました。

確かに見ていると「この役は新垣さんじゃない方が良いな」と感じるシーンは多く、せっかくの良さを消してしまっていたのかもしれません。豪華なメンバーがそろっていますが、最近のドラマは人気俳優や女優を出せばいいという訳ではないことがはっきりと分かる結果となりました。

また昌はなかなか断ることができない性格もしており、仕事で断れないシーンなどにモヤモヤする人も少なくなかったようです。

ビールバーでのシーンに意見が分かれる

作中では「5tap」というクラフトビールバーでのシーンが多くあります。仕事に疲れた昌と恒星が常連となっており、コアなビールが登場し「美味しそう」という意見も出ていました。

しかし、ビール好きからは「残し過ぎ」「いつも残してたね」とドラマの流れ以外にいつも残すビールが気になってしまう人も多かったようです。また注文しビールが来てから一口も飲まずに会話だけが進むシーンでは、せっかくの泡が消えてしまうことを心配するツイートなども多くありました。なかなか最初は交わらない昌と恒星の唯一の共通点でもあるビール好きという設定は良かったようですが、結果的に演出面でビール好きから嫌われてしまうことに…。

まとめ

獣になれない私たちの人気が低迷してしまった理由について記事で紹介させていただきました。やはりリアリティが逆になくなってしまったことと、新垣結衣さんの可愛さを殺してしまったことが大きな原因となっていると思います。

彼氏が元カノと同棲していることやブラック企業でのシーンは共感できるものの、同じ立場になって考えると憂鬱になり、もう見たくないという感情になってしまった人も多かったように思います。設定にリアリティがなくてもそこでの登場人物の立ち振る舞いや、セリフ、表情などで共感得ることはできると思いますが、残念ながら視聴者から共感得ることはできなかったように感じます。

しかし、入り混じる人間模様や、現代の日本人が抱える悩みをしっかりととらえたドラマだと思うので、実際に一度ご覧になってみてはいかがでしょうか?

 

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