性的アイデンティティが細分化され少しずつ世界でも受け入れられている昨今。恋愛の形も多様化しており、異性同士の恋愛が一般的ではありますが同姓同士の恋愛も偏見の目で見られない世の中に変わりつつあります。
LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)は有名なセクシャルマイノリティですが、皆さんは「デミセクシュアル」という方々がいる事をご存知ですか?
デミセクシュアルは多様化しているセクシャリティの中でも特に特殊で中々理解されにくいものであるとして有名です。性欲も恋愛感情も全く分からない「アセクシュアル」と近い関係でありますが性欲はないけどある半性愛なのがデミセクシュアルなのです。
目次
デミセクシュアルとは一体何なのか。性欲がないけどある?
皆さんの中には異性にドキドキしたり恋をした経験がない人はいらっしゃいませんか?異性を全く魅力的だと感じる事がない、かといって同姓にもトキメキを感じない人はもしかしたらデミセクシュアルなのかもしれません。
性的アイデンティティは細分化されていて様々な恋愛の形が受け入れられている時代に突入しています。他人に恋愛感情を抱いた経験が全くなく、性欲を感じた事もない、異性に魅力を感じないけど同姓にも感じない…まずはデミセクシュアルとはどういう人の事なのかを紹介していきたいと思います。
性愛者と無性愛者の中間
デミセクシュアルは性愛者と無性愛者の中間のセクシャリティだと言われています。性欲も恋愛感情も全くない「アセクシュアル」と近い関係にあると思われていますがデミセクシュアルはある特定の条件を満たす事で性欲を感じる事がありますので根本的には違うのです。積極的な恋愛はしないし興味もありませんが、強い信頼関係や精神的な結びつきを感じた相手に対しては恋愛感情を抱き性欲を感じる事がります。その対象は異性か同姓は問いません。
これは『性欲はないけどある』という表現で表される理由です。一般的なセクシャリティの場合は、恋人がいようがいまいが性欲を感じますよね。特に精神的な結びつきが強い人や信頼関係をが結ばれていない人でも、カッコイイ・素敵・ダンディーな人を見かければ性欲が湧き出てくるのが一般的なセクシャリティです。
しかしデミセクシュアルの人は精神的な結びつきや信頼関係を最も重要視していますので、そのような関係にならない限り性欲が湧き出てくる事はありませんのでムラムラする事がありません。男性の場合は当然セクシーな写真を見ても興奮する事がないという訳です。一般的なセクシャリティの人が抱えている性欲の処理問題に対して悩む事が全くないのがデミセクシュアルの人達です。
好きな人としかセックスしない!とは根本的に違う
デミセクシュアルの人が性欲を感じるのは精神的な結びつきや信頼関係を深く結べた人のみです。こうなると「私も好きになった人としかセックスしないわよ!」と思う人もいらっしゃるでしょうが、この考えとは全く異なります。
異性愛者の人との誰とでも寝ないという考え方とは根本的に違うのは性欲を感じるかどうかです。一般的なせくシャリティを持っている異性愛者の人であれば、彼氏がいてもイケメンを見たら良いなと思ったりこの人と付き合えたら…この人とセックスをしたら…と妄想する事もあるでしょう。つまりそれが性欲であり、好きな人としかセックスしない人は理性を自分でコントロールできるだけで性欲を止める事などできません。
しかしデミセクシュアルの方はいくら自分好みの外見の人が目の前にいても性欲を感じる事がありませんので、その妄想する事自体が全くないという訳です。性欲に関しては無…全くなにも思っていないという訳です。デミセクシュアルの人が性欲を感じる条件はとても高く、ハードルを幾つも越えなければ抱かれたいという感情を抱くことはありませんし、それが同姓なのか異性なのかも自分では決める事ができないのです。
デミセクシュアルの複雑な特徴を紹介
性的マイノリティの一つであるデミセクシュアルとは何かを上で軽く紹介してきましたが、まだ詳しくは理解できていないという人も多くいらっしゃる事と思います。ここからはもう少し詳しくデミセクシュアルについて掘り下げてみたいと思います。
恋愛感情を抱くようになるまでは膨大な時間が必要
アセクシュアルの方(相手に対して性的欲求も恋愛感情も抱かないセクシュアリティ)とは異なり、デミセクシュアルの方は性的な欲求や恋愛感情を抱くことがあります。しかし一般的なセクシャリティを持っている人であれば考えられない程、相手の方に恋愛感情を抱くまでには膨大な時間とお互いの理解が必要です。
デミセクシュアルの方が相手の事を好きになり性的欲求を感じるようになるのは『深いつながりを持った相手』『精神的な繋がりを感じた相手』のみです。
大親友と呼べる程に常に長時間共に過ごした親友であるとか、家族同然で行動した幼馴染であるとか、長時間一緒に過ごして相手の事を全て理解していると思う位に理解し、相手と精神的な深い部分で繋がっていると判断できなければ好きになる事がありません。つまり長い時間が必要になってくるという訳です。
性別や年齢に捉われない
デミセクシュアルの方が人を好きになるのは「深い絆で結ばれた相手」という条件のみなので、国籍・性別・年齢は全く関係がありません。極端な話、以前は異性の方が好きになったけど今回は同姓の人と性別が変わるケースもあります。
それもそのはずでデミセクシュアルの方が好きになる条件は精神的に深い絆で結ばれた時ですから、その時に深い絆で結ばれた相手が男性か女性かで好きになる人が変わっていくのです。一般的なセクシャリティである異性愛者の方は異性の方が恋愛対象であるのに対し、デミセクシュアルの方は人間が恋愛対象であるという訳です。
デミセクシュアルの方の中には恋愛対象が男性か女性なのかどちらなのか分からないという方もいらっしゃいます。一度も人を好きになった事がないのでどちらを好きになるのか分からず、大人になり始めて好きになった人の性別で、自分がこちらのセクシャリティだったのかと理解するケースもあるんだそうです。大切なのは絆ですから性別は大した問題ではないという訳です。
友情から発展するケース以外ない
デミセクシュアルの方は『深い絆で結ばれた相手』を好きになりますので、まずは友人関係を継続的に長く続ける事で相手の事を好きになり、そこから恋愛感情を性欲が芽生えていきますので、友情から恋愛に発展するケース以外はないのです。
男女交際で多いとされている合コンやナンパなどから恋愛に発展する事は考えられないと思っている女性はデミセクシュアルである可能性が少なくありません。
まずは相手の事を知り、相手の考えている事を理解し、完璧に相手の事を分かっていて深い絆で結ばれていると考えないと好きになる事ができませんので、合コンなどの男女の出会いの場から恋愛に発展するケースは0であると考えています。
一目惚れは絶対にない
上で紹介した友情からしか恋愛に発展しないという事に付随する事になりますが、まずは友人関係から長く友情を育んでいないと恋愛に発展する事はありませんので、当然一目惚れというものは全くありません。
一般的なセクシャリティの人であれば魅力的な異性を見つけたら良いなと思いますよね。あんな人に声をかけられたらついつい行ってしまうかも…なんていう気持ちになる事も一般的なセクシャリティを持っている人であれば普通の考え方です。
しかしデミセクシュアルの方は初対面の人を好きになり興味を持つという事は100%ありませんので、一目惚れは絶対にありませんし、素敵な外見をしている異性から声をかけられても全く反応がありません。当然性欲も全く湧きませんので、失礼な態度になってしまう事も多いんだそうです。
好きな人以外に全く興味が沸かない
デミセクシュアルは精神的な絆の繋がりを最も重要視していますので好きな人にはとことん尽くします。変わりに好きではない人には全く興味がなく、普通の人の観点から見ると凄い一途な人であるという風に思うかもしれません。
一般的なセクシャリティを持つ異性愛者であれば、いくら付き合っている彼がいたとしても他の人も性欲が湧くことはあるでしょうし、好きでもない人と性欲を発散するためだけに一夜を共にしちゃったなんていう経験を持っている人もいらっしゃるかもしれません。人間には性欲がありますので、そのような不貞行為をする事は何ら不思議な事ではないのです。
しかしデミセクシュアルの方は性欲が全くありません。深い信頼関係を築けている絆で結ばれている人にだけ性欲が湧き、恋愛観事情を抱きますので、他の人と不貞関係を結ぶという事がありえないのです。なぜなら性欲がない訳ですから、外で性欲を発散したいという考えに至る事がありません。そういう意味では一度好きになってもらうことができたら、一途で深く愛してくれる女性になるという事になりますね。
まとめ
大人になっても人のことを好きになった事がなく性欲も湧かないという方は近くにいらっしゃいませんか?興味も沸かないという方はもしかしたらデミセクシュアルである可能性があります。性的マイノリティとしては少数派ではありますが、同じ悩みを抱えている人は世界中に沢山いらっしゃいますので、自分の恋愛アイデンティティが何であるかは理解しておくのが良いかと思います。
一目惚れの経験がない人・好きな人以外に興味が全く沸かない人・彼にだけ性欲が湧き他の人としたいと思わない人…デミセクシュアルの予備軍である人はたくさんいると言われています。自分の性的アイデンティティは隠してしまうものですが恥ずかしい事ではありません。きちんと受け入れて自分の人生を歩む事が一番大切な事なのです。